う
今日は高級魚の河豚(ふぐ)をとりあげてみましょう。
お正月にはカニと並んでてっちりは欠かせないという方も多いのではないでしょうか。
養殖ものも出回るようになり、だいぶ庶民の手に届く存在になりつつありますが、
やっぱりまだご馳走ですよね。
フグにもたくさんの種類があるのですが、食用となるのはトラフグやマフグなど。
毒があるため、食品衛生法で食用可能とされているのは22種類です。
素人では判断しにくいので、釣りをされる方はご用心ですね。
このお魚、興奮するとお腹を膨らませます。
「河豚」と書くのは、別にその膨らんだ(肥った?)姿からではなく、
豚のような鳴き声をすることからなんだそうです。
海水魚ですが、汽水や淡水で生息するものもあって、昔の黄河でも
生きていたそうなんですよ。
天然も養殖も、長崎が水揚げ量最多で、消費量は大阪がダントツらしいです。
なんと全国の水揚げ量の約6~7割が、関西人の胃袋に入ってるんだそうですよ!
最近では中国や韓国からも輸入されるようになってきています。
それでもフグといえば下関。ブランドものですかね。
ふぐ毒にあたると死んでしまうので、大阪では「てっぽう」と呼び、
そこから「てっちり」とか「てっさ」という言葉が生まれたそうですよ。
とくにハラワタは食通が「フグは食いたし命は惜しし」とジレンマを感じるほどの
美味らしいです。
フグの毒はテトロドトキシンという成分で、中毒をおこすとかなり致死率が高いのです。
危険ですので、くれぐれも自分で調理しないでくださいね。
フグの身は高たんぱく、低カロリー。ゼラチン質を多く含み、コラーゲンが多いのです。
淡白なんですが、独特のうまみがあり、おいしくてヘルシーなお魚です。
皮の部分は特にコラーゲンが豊富で、食感が苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが、
美容にはとってもいいのですよ。
コレステロール値を下げ、中性脂肪も下げてくれますので、メタボ対策にもなります。
ただ、そういう向きには、白子は適しませんのでね。
アルギニンという成分が多く、血圧を高める働きがありますよ。
また旨味成分のグルタミン酸やイノシン酸、タウリンが豊富なので、
てっちりの後の雑炊がウマイのはみなさんもご存知の通りです。
他にもグリシンは抗菌作用、リジンは抗体やホルモンなどの合成に欠かせません。
こういった成分のおかげで、フグ独特の旨味や甘味がかもし出されているのです。
他にはビタミンD、B6、B12、ナイアシンなども豊富です。
それでは漢方的に見ていきましょう。
性質は、温性、潤作用があります。
臓腑では脾、肝、肺に入ります。
東洋医学的な効能としては、
補脾去湿、消化機能を高め、体内の余分な水分を解消します。
他にも、痔や、さまざまな皮膚疾患にもよいとされています。
体質的には、温性ですので虚弱体質や冷え症の方には滋養があっていいですね。
食べすぎなければ、”陰虚”体質の方にもいいでしょう。
普段から食べすぎや高血圧ぎみの方は控えめに。
高級なトラフグはなかなか手が出ませんが、スーパーで手に入る安めのフグでも、
旨味は十分です。
お鍋以外にも、唐揚げなんかおいしいですよね。
炊き込みご飯やスープなどにすると旨味が出て美味だと思いますよ。
冬の間にぜひ旬のフグをいただいてくださいね。