人口ボーナス論



現在の日本は総人口よりも生産年齢人口が速いペースで減り、
生産年齢人口比率が低下していっています。

同時に、日本はデフレにより未だに国民の実質賃金が低下しており、
若年層の雇用や所得が不安定化し、結婚が減り、少子化が継続しています。

結果、生産年齢人口比率の低下は
(少なくとも20年間くらいは)継続することになります。

とはいえ、よくよく考えてみると、今後の日本は生産年齢人口比率の
低下を受け、「働き手(特に若い働き手)」が貴重になり、
人手不足が深刻化することが明らかなのです。

そして、人手不足こそが生産性向上を促し、生産者の実質賃金を
引き上げます。生産年齢人口比率の低下は、国民の実質賃金を高め、
若年層の雇用や所得を安定化させ、結婚を増やし、最終的には
少子化を解決する絶好の機会なのです。

何というか、人口のスタビライザー(安定化装置)機能により、
我が国の諸問題は解決が「予定」されてしまっているわけです
(無論、外国人労働者を入れないことが前提ですが)。

上記の「解決策」に対し、例により「経済学的レトリック」を
持ち出し、反論する人がいます。いわく、
「日本は生産年齢人口比率が低下し、
 人口オーナスの状況に入ったため、経済成長できない」
というものです。人口オーナスとは何か。

「後発組にして半年で月100万円を達成」できるアフィリエイトノウハウはこれしかない。

逆に、人口「ボーナス」論を考えれば、理解できます。

人口ボーナス論とは、
「子どもと高齢者の数に比べ、働く世代(≒生産者)の割合が
増えていくことによって、経済成長が後押しされる」

つまりは、生産年齢人口比率の「上昇」が経済成長を
後押しするという考え方です。逆に、生産年齢人口比率が
低下すると、経済成長はできないというのが人口オーナス論になります。

上記の「人口ボーナス論」は、実は経済成長の「基本」を
無視しています。すなわち、経済成長とは
「インフレギャップ(需要過多)下の生産性向上
(生産者一人当たりの生産の増加)によってのみ、達成される」
という事実を無視するのです。

単に、インフレギャップ下で「生産者」が増加すれば、
供給能力が高まり、経済成長するという考え方が人口ボーナス論です。

生産者の生産性が変わらないとして、インフレギャップの状況で
生産者数が増えれば、それはまあ、GDPは増えるでしょう。
とはいえ、「生産者一人当たりの生産=所得」が増えるわけ
ではないのです。つまり、国民の豊かさは変わりません。

人口ボーナス論の考え方は、
「生産者の所得を増やさずに、全体のGDPを大きくする」
という概念なのです。

お分かりでしょうか。人口ボーナス論を持ち出す人は、
生産性の向上を無視する以上、「生産者」を豊かに
するのが嫌、という前提があるとしか思えないのです。

つまりは、人件費の上昇を回避したいわけですね。

結局、現在の我が国における様々な経済的な論争は、
「生産性向上で国民が豊かになり、豊かになった国民が
消費・投資を増やし、持続的な経済成長を遂げる」
のを善とするのか。それとも、
「国民の実質賃金を抑制し、グローバル市場における
価格競争力を高めて自らの利益(グローバル投資家など)を最大化する」
のを望むのか。

上記の「価値観の争い」であることが理解できるのです。

引用:月刊三橋会員限定『メルマガ月刊三橋』
2016・01・28

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