財務省がこの国をだめにしてきた



17年4月の消費税再増税が延期され、財政出動が拡大される(可能性が高まった)という「正しい判断」の波紋が広がっています。

早速、毎日新聞が「財政さらに悪化 巨額債務の削減困難」と、「嘘の財政破綻論」に基づく頭の悪い記事を報じています。また、榊原経団連会長は、
「経済成長とデフレ脱却が最優先だ」
「停滞打開に向け、政府に財政出動を含めた経済政策を働き掛けていく」

と、ええっ!となってしまうほどにまともな発言をするなど、「6月1日以降」が始まりました。

産経新聞が、今回の「6月1日」の舞台裏を報じていましたので、ご紹介。

『【再延期の波紋(上)】「戦力外通告」の財務省、最後まで蚊帳の外増税の「誤ち」認めず官邸が不信感
http://www.sankei.com/premium/news/160602/prm1606020004-n1.html
「財務省がこの国をだめにしてきた」
ある政府高官は最近、かつては「最強」と呼ばれた官庁をこう切り捨てた。
優れた政策立案能力と永田町の隅々にまで築き上げた情報網を恐れられ、時の政権ですら直接対峙することを避けてきた財務省。しかし、平成24年に第2次安倍晋三政権が発足して以降は、重要な政策決定の過程で蚊帳の外に置かれる場面が目立つ。今回の消費税増税の再延期議論でも、為す術なく、首相の決断を受け入れるしかなかった。
財務省は、首相が増税再延期の本格検討に入ってからも、「予定通りに消費税率を10%引き上げなければ財源不足が生じ、社会保障の充実策は難しい」と官邸サイドに訴えていた。
だが、約3年半のアベノミクス効果で税収は国と地方で計約21兆円増えている。各報道機関の世論調査でも、再増税反対が一貫して過半を占めていた。夏に参院選を控えた政権にとって増税が逆風なのは明白だ。官邸は財務省に増税再延期を想定した財源確保の検討を指示したが、増税を悲願とする財務省は「アベノミクスによる税収増は財源にならないと繰り返すだけだった」(首相周辺)。
官邸サイドには日に日に財務省への不信感が募っていった。そもそも、デフレ脱却の成否を左右する個人消費は、26年4月の消費税率5%から8%への引き上げ以降、低迷が続く。8%への増税による消費低迷は一時的だとした財務省は完全に見通しを誤っていた。(後略)』

後略部で産経新聞が面白いことを書いているのですが、

『麻生太郎財務相は5月、首相に「3度目の失敗は許されない」と進言。9年の消費税率3%から5%に引き上げ、26年の5%から8%への増税後、ともに経済が失速したのを踏まえ、増税回避を首相に示唆している。表向き、麻生氏が増税を主張し続けたのは「財務省職員への配慮」(官邸関係者)にほかならない。』
とのことでございます。
本当かいな? と、思ってしまったわけですが、近い将来、お会いする機会もあるでしょうから、ご本人に直接聞いてみたいと思います。

麻生財務大臣の進言通り、日本国をデフレに叩き込んだのは、97年(平成9年)の橋本政権の消費増税強行でした。

週刊アサヒ芸能の連載「三橋貴明の列島丸わかり報告書」で書いているのですが、財務省は大蔵省時代から主流派経済学的、新自由主義的な「財政均衡主義」に固執し、大蔵省が財務省に変わった際に、財務省設置法に「任務(略)健全な財政の確保」を突っ込みました。

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財務省は、中央省庁等改革基本法を根拠法として、2001年1月6日に大蔵省が改編される形で発足しました。中央省庁等改革基本法は、1997年12月3日の行政改革会議の最終報告の趣旨に則り、制定されたものになります。

行政改革会議は、1996年11月21日から98年6月30日まで総理府に設置された会議です。目的は、ずばり中央省庁再編です。行政改革会議の資料を見ると、97年5月14日、21日に大蔵省が提出した資料の中に、以下の記述がありました。

『(1)財政構造改革 財政構造の改革は、行政のスリム化・効率化を推進するという観点では、行政改革と方向性を同じくするものと考える。現在、我が国財政は主要先進国中最悪といえる状況となっており、高齢化社会の下で現在の財政構造を放置し、財政赤字の拡大を招けば、国民経済自体の破綻を招く可能性が高い。
今後の高齢化の一層の進展を見据え、21世紀の活力ある豊かな国民生活を実現するとともに、次世代に対する責任を果たすために、財政健全化目標を定めるとともに、徹底した歳出全体の見直しを行うなど、財政構造改革を強力に推進しているところである。』

何のことはない。財務省設置法の財務省の任務に「健全な財政の確保」を追加するべく働きかけたのは、大蔵省自身なのです。当時の大蔵省は、橋本政権が推進する行政改革を「利用」し、新生財務省の任務に「財政健全化」を加えたのです。

彼ら、アメリカで主流派経済学の「財政均衡主義」の教育を受けた大蔵官僚たちが、武村正義に代表されるポピュリズム的な「公共事業否定派」と連携し、我が国に存在しない財政破綻論が広まっていきます。ちなみに、武村正義(当時は大蔵大臣)が中央公論に、
「このままでは国が滅ぶ-私の財政再建論-」
なる刺激的なタイトルの寄稿をしたのは、1996年のことです。その前年、95年11月国会において、武村正義は大蔵大臣として「財政破綻宣言」をしています。

日本で急速に「財政破綻論」が広まっていきます。

最終的には、97年の消費税増税、公共投資削減というバブル崩壊後には決してやってはならない緊縮財政が強行され、我が国はデフレに突っ込みました。

今回の「6月1日」を切っ掛けに、「財務省がこの国をだめにしてきた」という真実が国民に広まるか、否か。これが、今後の我が国の行く末に決定的な影響を与えることになります。

それにしても、産経新聞は上記の記事を書いた結果、財政研究会(財務省の記者クラブ)からパージされたりはしないのでしょうか。財務省は「財政研究会」という記者クラブを活用し、マスコミに対する影響力を確保しているのです。
産経新聞がパージされたら、それはそれで「財務省がこの国をだめにしてきた」という話の信ぴょう性が高まることになりますが、いずれにせよ注目してみたいと思います。

引用:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』 2016/6/3

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