書籍 下書き

不妊の定義


 一般的に、子供を欲しいと思う男女が正常な性生活を行なって、避妊期間を除いて、一定期間以上妊娠しないことをいいます。

この「一定期間」というものは、人それぞれによって異なることが多いようです。年齢が20代なら1年半、30代なら2年くらいってことでしょうか。

不妊によって夫婦間の仲に問題が起こるというのは、よくいわれております。不妊は女性における鬱病率をガン告知や心臓病と同レベルに向上させるともいわれております。
不妊治療は夫婦仲の改善に有効である場合と逆効果である場合の両方がある。また、不妊治療が羞恥心を刺激するとの指摘もある。

西洋医学からみた不妊

「不妊」とは、「避妊をしていないのに12ヶ月以上にわたって妊娠に至れない状態」の事をいいます。(世界保健機関による定義)
http://www.who.int/reproductivehealth/publications/infertility/art_terminology.pdf

健康な男女が結婚して通常の性生活を営んでいる場合、1年以内に約80%、2年以内では約90%が妊娠する、と言われている反面、夫婦の5組に1組以上が不妊症に悩んでいるとも言われています。

基礎体温を測ったりして「妊娠しよう」と頑張っているご夫妻も多い事かと思います。それでも、なかなか妊娠に至らない場合には、多くの場合、病院やクリニックを訪れて、西洋医学的な検査や治療を受ける方も多い事でしょう。
そこでは、後に記載してあるような検査などを受け、原因を特定し、その原因により治療を行います。ただし男女とも原因が見つからない事もしばしばあります。

いずれにしても西洋医学ではホルモン剤を使用し、いかに確実に排卵させるか、いかに多くの受精卵を作るかという治療がメインになります。

東洋医学からみた不妊

妊娠の大切な要素は「精子」と「卵子」が出会い、その結果できる「受精卵」と、その受精卵を受け入れる「母体」です。西洋医学における不妊治療の最先端では「受精卵」を作ることに関しては目をみはるものがありますが、その「受精卵」を受け入れる母体の体質については病気などの異常が見つからない限りはほとんど問題視されません。しかし東洋医学では母体の体質にこそもっと目を向けるべきである、と考えています。妊娠だけではなく、出産までこぎつけるには、受精卵を受け入れる「母体」の健康、つまり「妊娠しやすい身体づくり」をする必要があるからです。

男性不妊と女性不妊の割合

WHO(世界保健機構)が男女別不妊原因を調査したところ、男性のみに原因がある場合はそのうち24%、女性のみに原因がある場合はそのうち41%、男女ともに原因がある場合は24%、原因不明が11%ということがわかりました。

「男は何歳になっても妊娠させられるんだから、悪いのは全部女のせいだ。」などと言われる方も少なくないのですが、ちょっと待ってください、女性だけが悪いのは、全体の4割ですよ。

実際当院にも、ご主人が原因、という方が数多く来院されているので、この数字にも至極納得できます。夫婦2人の子供なので、夫婦2人ともに原因がある、ということだと思って良いのではないでしょうか?

女性側の主な不妊の原因

では、女性の不妊原因として、代表的なものを、ここに列挙しましょう。

■子宮内膜症

本来、子宮の内側にある膜が、なんらかの原因で子宮の内側以外の部分である筋層、卵巣、卵管、直腸、腹腔内に飛び火をして、増殖や剥離、出血を繰り返します。排卵や着床を妨げたりする事があります。

■チョコレート嚢腫

子宮内膜症の一病態。卵巣内で子宮内膜組織が増殖して、チョコレート色の液状物がたまっている状態。チョコレート嚢腫があると卵巣の働きが低下します。嚢腫摘出術、アルコール固定、薬物療法などの治療法があります。

■子宮腺筋症
子宮筋層(子宮内)に出来る子宮内膜症。

■排卵障害
卵がうまく育たない、または育っても排卵しなくなります。

■中枢性の排卵障害
視床下部や脳下垂体からのホルモン分泌不全によって起きる排卵障害。

■卵巣機能不全
脳下垂体から性腺刺激ホルモン(FSHとLH)の刺激を受けても卵胞の発育などの卵巣機能が正常に働かなくなります。

■多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
卵胞がある程度の大きさにまで育つのに成熟卵胞まで育ちにくく卵巣の皮が固いために外に飛び出せない状態になります。

■黄体未破裂卵胞(LUF)
卵胞が成熟するのに排卵が起こらず、普通は排卵後にからっぽになった卵胞が黄体へと変化するのに、排卵が起きないまま黄体化してしまいます。

■高プロラクチン血症
妊娠していないのに、血中の乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)が異常に高い状態。プロラクチンには排卵を抑えてしまう働きがあります。原因は薬剤性、下垂体腫瘍、特発性(原因不明)の3つがある。またホルモン負荷試験のTRHテストで発見される潜在性高プロラクチン血症もあります。

■早発卵巣機能不全(早期閉経)
40才以前に閉経になります。卵巣に全く卵胞が認められないPDFと、卵胞が存在しているのに性腺刺激ホルモン(ゴナドトロビン)に反応しないGROSがあります。 (ちなみに、日本人女性の平均閉経年齢は50歳。)

■卵管障害
卵管を切除してしまった、あるいは細かったり詰まったりしているため、に卵子が精子に出会えません。

■卵管切除
子宮外妊娠などにより卵管を切除してしまった。

■卵管癒着
卵管が癒着を起こしている状態。

■卵管狭窄
卵管が狭いこと。

■卵管閉塞
卵管が閉鎖している状態。

■ピックアップ障害
きちんと排卵されているのに、卵管采という卵をキャッチする卵管の先が癒着を起こしていたりしてうまく卵をとりこめない状態。

■頚管因子障害
子宮頚管に問題があったり、排卵期に分泌される粘液に問題があり精子が子宮の中へと進入できません。

■頚管粘液不全
排卵期になると子宮頚管からねばり気のある粘液が増え精子を通過させやすくしますが、この粘液の量が少ない状態です。

■粘液の性質
膣の中は強酸性(雑菌の侵入を防ぐため。)なので、アルカリ性の粘液を出し、精子を子宮内に誘導しようとしますが、膣内が中性化されずに精子が侵入できない状態。

■抗精子抗体
精子を抗原とする免疫反応。精子の凝集や不動化を引き起こして受精を妨げます。

■着床障害
子宮内に問題があり着床が出来ない状態。

■子宮筋腫
子宮の上皮組織から発生する良性の腫瘍。30才を過ぎると3人に1人はあるといわれています。子宮筋腫のある人が全て不妊の原因になるというわけではありませんが、大きさや場所などにより着床を妨げることがあります。また胎児が育たなくなってしまうこともないわけではありません。

■黄体機能不全
子宮内膜の着床のための準備が十分に整わない状態。黄体ホルモンの分泌不全や排卵障害、子宮内膜の感受性異常などさまざまな原因で起こります。

■子宮内膜ポリープ
子宮にポリープが出来ていて表面がでこぼこの状態のために着床できない場合があります。

■卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
女性の卵巣は親指大ほど(3~4cm)の臓器ですが、その中の卵(卵胞)が過剰に刺激されることによって、卵巣が膨れ上がり、腹水や、ときに胸水などの症状が起こる状態。
排卵誘発の際に、過剰に卵胞が刺激されることが原因の1つです。経口剤のクロミフェン療法で発症することは稀ですがhMG-hCG療法(ゴナドトロピン)で発生しやすいことが知られています。

男性側の主な不妊の原因

妊娠するためには、ただ精子数と運動率が正常であれば良いのではなく、ひとつひとつの精子の「質」が良くなくてはいけません。最近は男性不妊の増加傾向にあります。

男性不妊検査

■精巣上体精子採取法(MESA)
精液中の精子数は0でも精巣上体に精子が存在すれば採取して顕微授精が可能(多く採取できれば体外受精も可能)です。

■精巣精子採取法(TESE)
精子中の精子数は0でも精巣に精子が存在すれば採取して顕微授精が可能です。

男性不妊の原因

■精索静脈瘤
精巣から出ている静脈に血液がとどこおり、こぶ状に膨らんでしまう症状。

■逆行性射精
精液が膀胱に射精されてしまう症状。

■精液減少症
1回の射精で出る精液が0.5cc以下の場合。(普通は3~6cc)

■乏精子症(精子減少症)
精子の数が少ない症状。(WHOの定義では、精子数が1ccあたり2000万以下の場合)

生殖補助技術と精子数の目安
人工受精(AIH) 1ccあたりの精子数1000万個以上
体外受精(IVF-ET) 1ccあたりの精子数500万個以上
顕微授精(ICSI) 1個以上

■精子無力症
精子の動きが悪い症状(WHOによると、運動率50%以上が正常とされる)

■精子奇形症
奇形の精子が多い症状( WHOによると50%未満が正常とされる)

■無精子症
精液中に精子が存在しない症状。精子が造られていない場合と射精されるまでの過程で輸送されていない場合があります。精液中に精子が0でも精巣上体、精巣に存在すれば体外受精を行うことが出来ます。

■精子膿症
感染を起こしている。

■性交障害(ED:勃起不全)
十分な勃起を得られずきちんと性交が出来ない状態。心因性な場合と機能的な場合があります。男性不妊の約10%がEDであるといわれま

西洋医学からみた不妊

「不妊」とは、「避妊をしていないのに12ヶ月以上にわたって妊娠に至れない状態」の事をいいます。(世界保健機関による定義)
http://www.who.int/reproductivehealth/publications/infertility/art_terminology.pdf

健康な男女が結婚して通常の性生活を営んでいる場合、1年以内に約80%、2年以内では約90%が妊娠する、と言われている反面、夫婦の5組に1組以上が不妊症に悩んでいるとも言われています。

基礎体温を測ったりして「妊娠しよう」と頑張っているご夫妻も多い事かと思います。それでも、なかなか妊娠に至らない場合には、多くの場合、病院やクリニックを訪れて、西洋医学的な検査や治療を受ける方も多い事でしょう。
そこでは、後に記載してあるような検査などを受け、原因を特定し、その原因により治療を行います。ただし男女とも原因が見つからない事もしばしばあります。

いずれにしても西洋医学ではホルモン剤を使用し、いかに確実に排卵させるか、いかに多くの受精卵を作るかという治療がメインになります。

東洋医学からみた不妊

妊娠の大切な要素は「精子」と「卵子」が出会い、その結果できる「受精卵」と、その受精卵を受け入れる「母体」です。西洋医学における不妊治療の最先端では「受精卵」を作ることに関しては目をみはるものがありますが、その「受精卵」を受け入れる母体の体質については病気などの異常が見つからない限りはほとんど問題視されません。しかし東洋医学では母体の体質にこそもっと目を向けるべきである、と考えています。妊娠だけではなく、出産までこぎつけるには、受精卵を受け入れる「母体」の健康、つまり「妊娠しやすい身体づくり」をする必要があるからです。

男性不妊と女性不妊の割合

WHO(世界保健機構)が男女別不妊原因を調査したところ、男性のみに原因がある場合はそのうち24%、女性のみに原因がある場合はそのうち41%、男女ともに原因がある場合は24%、原因不明が11%ということがわかりました。

「男は何歳になっても妊娠させられるんだから、悪いのは全部女のせいだ。」などと言われる方も少なくないのですが、ちょっと待ってください、女性だけが悪いのは、全体の4割ですよ。

実際当院にも、ご主人が原因、という方が数多く来院されているので、この数字にも至極納得できます。夫婦2人の子供なので、夫婦2人ともに原因がある、ということだと思って良いのではないでしょうか?

女性側の主な不妊の原因

では、女性の不妊原因として、代表的なものを、ここに列挙しましょう。

■子宮内膜症

本来、子宮の内側にある膜が、なんらかの原因で子宮の内側以外の部分である筋層、卵巣、卵管、直腸、腹腔内に飛び火をして、増殖や剥離、出血を繰り返します。排卵や着床を妨げたりする事があります。

■チョコレート嚢腫

子宮内膜症の一病態。卵巣内で子宮内膜組織が増殖して、チョコレート色の液状物がたまっている状態。チョコレート嚢腫があると卵巣の働きが低下します。嚢腫摘出術、アルコール固定、薬物療法などの治療法があります。

■子宮腺筋症
子宮筋層(子宮内)に出来る子宮内膜症。

■排卵障害
卵がうまく育たない、または育っても排卵しなくなります。

■中枢性の排卵障害
視床下部や脳下垂体からのホルモン分泌不全によって起きる排卵障害。

■卵巣機能不全
脳下垂体から性腺刺激ホルモン(FSHとLH)の刺激を受けても卵胞の発育などの卵巣機能が正常に働かなくなります。

■多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
卵胞がある程度の大きさにまで育つのに成熟卵胞まで育ちにくく卵巣の皮が固いために外に飛び出せない状態になります。

■黄体未破裂卵胞(LUF)
卵胞が成熟するのに排卵が起こらず、普通は排卵後にからっぽになった卵胞が黄体へと変化するのに、排卵が起きないまま黄体化してしまいます。

■高プロラクチン血症
妊娠していないのに、血中の乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)が異常に高い状態。プロラクチンには排卵を抑えてしまう働きがあります。原因は薬剤性、下垂体腫瘍、特発性(原因不明)の3つがある。またホルモン負荷試験のTRHテストで発見される潜在性高プロラクチン血症もあります。

■早発卵巣機能不全(早期閉経)
40才以前に閉経になります。卵巣に全く卵胞が認められないPDFと、卵胞が存在しているのに性腺刺激ホルモン(ゴナドトロビン)に反応しないGROSがあります。 (ちなみに、日本人女性の平均閉経年齢は50歳。)

■卵管障害
卵管を切除してしまった、あるいは細かったり詰まったりしているため、に卵子が精子に出会えません。

■卵管切除
子宮外妊娠などにより卵管を切除してしまった。

■卵管癒着
卵管が癒着を起こしている状態。

■卵管狭窄
卵管が狭いこと。

■卵管閉塞
卵管が閉鎖している状態。

■ピックアップ障害
きちんと排卵されているのに、卵管采という卵をキャッチする卵管の先が癒着を起こしていたりしてうまく卵をとりこめない状態。

■頚管因子障害
子宮頚管に問題があったり、排卵期に分泌される粘液に問題があり精子が子宮の中へと進入できません。

■頚管粘液不全
排卵期になると子宮頚管からねばり気のある粘液が増え精子を通過させやすくしますが、この粘液の量が少ない状態です。

■粘液の性質
膣の中は強酸性(雑菌の侵入を防ぐため。)なので、アルカリ性の粘液を出し、精子を子宮内に誘導しようとしますが、膣内が中性化されずに精子が侵入できない状態。

■抗精子抗体
精子を抗原とする免疫反応。精子の凝集や不動化を引き起こして受精を妨げます。

■着床障害
子宮内に問題があり着床が出来ない状態。

■子宮筋腫
子宮の上皮組織から発生する良性の腫瘍。30才を過ぎると3人に1人はあるといわれています。子宮筋腫のある人が全て不妊の原因になるというわけではありませんが、大きさや場所などにより着床を妨げることがあります。また胎児が育たなくなってしまうこともないわけではありません。

■黄体機能不全
子宮内膜の着床のための準備が十分に整わない状態。黄体ホルモンの分泌不全や排卵障害、子宮内膜の感受性異常などさまざまな原因で起こります。

■子宮内膜ポリープ
子宮にポリープが出来ていて表面がでこぼこの状態のために着床できない場合があります。

■卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
女性の卵巣は親指大ほど(3~4cm)の臓器ですが、その中の卵(卵胞)が過剰に刺激されることによって、卵巣が膨れ上がり、腹水や、ときに胸水などの症状が起こる状態。
排卵誘発の際に、過剰に卵胞が刺激されることが原因の1つです。経口剤のクロミフェン療法で発症することは稀ですがhMG-hCG療法(ゴナドトロピン)で発生しやすいことが知られています。

男性側の主な不妊の原因

妊娠するためには、ただ精子数と運動率が正常であれば良いのではなく、ひとつひとつの精子の「質」が良くなくてはいけません。最近は男性不妊の増加傾向にあります。

男性不妊検査

■精巣上体精子採取法(MESA)
精液中の精子数は0でも精巣上体に精子が存在すれば採取して顕微授精が可能(多く採取できれば体外受精も可能)です。

■精巣精子採取法(TESE)
精子中の精子数は0でも精巣に精子が存在すれば採取して顕微授精が可能です。

男性不妊の原因

■精索静脈瘤
精巣から出ている静脈に血液がとどこおり、こぶ状に膨らんでしまう症状。

■逆行性射精
精液が膀胱に射精されてしまう症状。

■精液減少症
1回の射精で出る精液が0.5cc以下の場合。(普通は3~6cc)

■乏精子症(精子減少症)
精子の数が少ない症状。(WHOの定義では、精子数が1ccあたり2000万以下の場合)

生殖補助技術と精子数の目安
人工受精(AIH) 1ccあたりの精子数1000万個以上
体外受精(IVF-ET) 1ccあたりの精子数500万個以上
顕微授精(ICSI) 1個以上

■精子無力症
精子の動きが悪い症状(WHOによると、運動率50%以上が正常とされる)

■精子奇形症
奇形の精子が多い症状( WHOによると50%未満が正常とされる)

■無精子症
精液中に精子が存在しない症状。精子が造られていない場合と射精されるまでの過程で輸送されていない場合があります。精液中に精子が0でも精巣上体、精巣に存在すれば体外受精を行うことが出来ます。

■精子膿症
感染を起こしている。

■性交障害(ED:勃起不全)
十分な勃起を得られずきちんと性交が出来ない状態。心因性な場合と機能的な場合があります。男性不妊の約10%がEDであるといわれます。