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体外受精、顕微授精

体外受精とは、卵巣から採取した卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を培養してから子宮内に戻す方法です。

次に説明する「顕微授精」と同じく、こうした高度な医療を「生殖補助技術」(ART)といいます。

受精卵(胚)を子宮内に戻すため、当然ながら、妊娠率は人工授精よりも高い(妊娠率は20%を上回ります。)のですが、排卵誘発剤の投与等で、副作用が少なくありません。また、健康保険が適用されないために、経済的な負担も大きいです。

技術も進歩してさほど特別な事ではなくなっているのも事実ですが、時間も手間も費用もかかるので、ご夫婦でよく相談されて納得されてから、取り組まれるべき、と思います。

体外受精の手順について、ですが、「排卵コントロール」から始まり、「採卵」「受精」「胚移植」という順番で進んでいきます。ただ、前の段階で問題があると先に進めないことも多く、その場合は、また次回最初から行うことになります。

① 排卵コントロール

排卵誘発法にはいくつか種類がありますが、ここではロング法について述べたいと思います。

体外受精では28~30日を1周期として考えます。前周期の21日目頃から排卵時期コントロールのため、GnRHアゴニストという薬を使い始めます。また、卵子の質をよくするため、ピルの服用も始めます。
月経開始3日目に入ったら、排卵誘発剤を使って、排卵をコントロールしながら卵子を成熟させます。

② 超音波で状態をチェック

排卵誘発の処置を行いつつ、それと並行して、前胞状卵胞を測定する超音波検査、卵巣と下垂体のホルモン状態を採血で調べるホルモン分泌検査を行ないます。

③ hCG注射

超音波検査で卵子の直径が18mmまで成熟していたら、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を注射します。卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌を促す作用があります。その注射の目的としては、熟成された卵胞を排卵させる目的で使われます。それともうひとつ、黄体ホルモンの補充にも使われます。黄体機能不全など黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌に不妊原因があるときには、基礎体温の高温期中(排卵後)にhCGを投与することで妊娠の継続が維持できるようにカバーします。
ただ、妊娠検査薬で陽性になる成分なので、投与している周期では、妊娠していないのに妊娠検査薬で陽性反応を示すことがあります。

④ 採卵

採卵時に麻酔をかける事が多いため、前日は午後10時以降の飲食は厳禁となることが多いです。
採卵当日は、指定された時間に病院へ行きます。ご主人は病院内でマスターベーションによって精液を採取します。自宅で採取する場合は、2時間以内に持参して下さい。