前回から男性不妊でよく使われる漢方薬について
鍼灸師の視点で東洋医学的に解説してみるシリーズをスタートしました。
今回はシリーズ2回目です。

前回は、クリニックで処方される男性不妊の定番漢方薬【補中益気湯】が
東洋医学的にはどういう効果があるものなのかについて
紹介させていただきました。

今回は、【補中益気湯】に含まれる生薬に視点をあてて
解説してみたいと思います。

ではまず、【補中益気湯】に含まれる生薬ですが
『内外傷弁惑論』という古典には次のように書かれています。

黄耆、甘草、人参、升麻、柴胡、陳皮、当帰、白朮

ただ、実際処方されることの多い製薬会社製のものには
大棗と生姜という生薬も追加されていることが多いようです。

ということで、
生薬それぞれのはたらきを簡単にみていきましょう。

<黄耆(おうぎ)>
東洋医学的に脾臓や肺にはたらき、”気”が弱っているのを助けたり、
身体を温めるはたらきがあります。
東洋医学では、脾臓は、食べ物を消化して元気を作ることを担当してますし、
肺は、気を全身に送るはたらきを担当しています。
補中益気湯に含まれる生薬の中では、この黄耆が中心的な役割をもっています。

<甘草(かんぞう)>
こちらも黄耆同様に”気”を助ける働きがあります。
心、肺、脾、胃に効きます。

<人参(にんじん)>
こちらも”気”を助ける生薬ですが、特に”元気”を大きく補ってくれます。
脾、肺に効きます。

<升麻(しょうま)><柴胡(さいこ)>
これらは身体の中の鬱滞した風熱の邪を発散させる働きがあります。
升麻は、肺、脾、大腸、胃に効き、
柴胡は、肝、胆、心包、三焦に効きます。

<陳皮(ちんぴ)>
気のめぐりを助けるはたらきがあります。
脾、肺に効きます。

<当帰(とうき)>
血を養うはたらきあります。
心、肝、脾に効きます。

<白朮(びゃくじゅつ)><大棗(たいそう)>
脾胃にはたらき、消化を助けることで、”気”の弱りを助けます。

<生姜(しょうきょう)>
身体を温め、発汗させるはたらきがあります。
肺、脾胃に効きますので、冷えによる胃腸の弱りやカゼにも効果的です。

これらが、補中益気湯に含まれる生薬のざっくりとしたはたらきです。

本当はそれぞれもっと細かく色々な効能があるのですが
解説が複雑になりますし、一般の方向けではなくなってしまいそうですので
ここでは省略させていただきます。

と、かなり大雑把な紹介ではありますが
消化器関係の臓腑にはたらくことで”気”の弱りを助ける
という生薬がたくさん入っているということが
分かりました。

ということは、
男性不妊で悩まれている方の中でも
食が細かったり、胃腸が弱く、
そのためにあまり元気が出てこない
という体質の方により効果的ということですね。

逆に胃腸が強く食欲旺盛で元気もある
けど、なぜか精子の状態はよくない・・・
こういう方にはあまり改善を期待できないかもしれませんね。

ということで、補中益気湯に含まれる生薬から
補中益気湯の効能、
適応となる男性不妊の方の体質
について考えてみました。

いかがでしたか?
よければ参考にしてみて下さいね。

ただ、このメルマガは漢方薬を勧めるモノではありません。
処方については、医師であったり、漢方薬局等にご相談下さいね。

なお、当院では、漢方薬をご希望されるゲストや
鍼灸治療に漢方薬を組み合わせた方がより効果的と考えられるゲストの方には
提携している漢方薬局から漢方薬を処方してもらうこともできます。

このように連携することで
鍼灸も漢方も同じ方向性でアプローチできるので
相乗効果で体質改善もより進みやすいんですよ。

ということで、2回にわたって紹介してきた
補中益気湯については、一旦ここまでです。

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