未妊治療を続けておられるみなさんに、これまで通りお役に立てる情報を
お届けしていきます。
本日は、みなさんからよくいただくご質問に答えるシリーズです。
今回はどちらかというとなかなか口に出せないけど、とっても気になる疑問を
取り上げます。

本日のQuestionはこちらです。
「不妊治療のやめどきは?」

これ、かなり重たいテーマですよね。
しかしこれも現実なんです。
できればそんなことを考えることなく、お子さんを授かるのが理想的。
ただ、こればっかりは100%実現するわけではないというのが現実です。

当院にも、「体外受精を10回以上やりました」という方や、
なかには「もう10年以上がんばってきました」という方もお越しになります。

年齢的にもタイムリミットが迫り、心身ともに、そして経済的な負担で崖っぷち。
ストレスから、さらに体調も悪化し、卵も育たなくなって・・・

身動きが取れなくなって、東洋医学に救いを求めて来院される方も
実際にいらっしゃるのです。

長期間のホルモン治療で身体の変化が著しく、度重なる落胆とストレスで
心もボロボロになって、お話をされながら涙が止まらなくなる方も多いのです。
そんな方は、頭のなかは常に不妊治療のことでいっぱいいっぱい。
他のことを考える余裕はなく、かなり思いつめていらっしゃいます。

この手でわが子を抱きたい。
愛するパートナーに赤ちゃんを抱かせてあげたい。
両親に孫の顔を見せてあげたい。
子育てして幸せな家庭を築きたい。

そんな願いがなかなか叶わず、辛い毎日を過ごされている方々の胸のうち、
ほんとうに痛々しく、なんとか夢を叶えていただきたい、
お力になりたい、と強く強く願うのです。

そうした方が念願かなって妊娠されたときは、大きな喜びとともに
私たちも安堵します。
キラキラ輝く笑顔やうれし涙を拝見するのは、鍼灸師冥利に尽きます。

でも、こんなに苦しまなくてもよかったのでは?
という思いも消すことができません。

東洋医学的には、女性の妊娠出産可能な年齢はギリギリ49歳、
とされています。
私たちの祖母くらいの年代では、10人も出産する女性は普通にあり、
きょうだいの一番上と下では20歳以上の開きがあることも。
そうすると、49歳で出産というのも十分ありえるのかな、と思います。

現代では、野田聖子さんが代表されるように、高度生殖医療の発展で
50歳でも第1子の出産は可能となっています。
野田さんは子どもを産みたい女性に勇気を与えてくれましたね。

それでも、いつまでがんばるのか、というのは依然として残る課題です。
ひとりひとりお身体の状態も違うし、周辺の事情や経済的状況も
違っているので、一律に何歳までと年齢で切るのには無理があります。

ですので、なるべく早い段階で、
できたら不妊治療を始めるくらいの段階で、
いつまでがんばる、という期限をご夫婦で決められることを
お勧めしています。

ご自身の条件をよく把握していただいたうえで、
何歳まで、あるいは、例えば体外受精だったら何回まで、
といった形でリミットを設けていただいてはどうかと思います。

そして、その後のご自身とパートナーの方とのお二人の人生にも
勇気をもって目を向けていただきたいのです。
お二人の関係が将来ずっと幸せであることが基本だからです。
お子さんがいなければ不幸になるとか、壊れてしまう関係はどうでしょう?

これはすべてのカップルに共通して言えることですが、
まずはお二人が幸せになることが第一ですね。
そこにお二人のお子さんが来てくれれば、尚すばらしい。

男性では、たとえ授からなくても、二人で仲良くやっていければいい、
という方が意外と多いのです。
いっぽう、女性のほうが「なにがなんでも」という方が多いのですね。

その肩に入りすぎた力が、子宝を遠ざけているかもしれないのです。

ちょっと力を抜いて、お二人の幸せのあり方をイメージしてみましょう。

世の中には、お子さんはいないけど、とっても仲良しで幸せなカップルが
たくさんあります。
子どもがいなければ不幸と考えるのは、そんな方々に失礼かもしれません。

ずっと幸せに生きていける夫婦だからこそ、赤ちゃんが来てくれたら
もっともっと幸せになるな~って思えたら、
ぜひ治療にまい進してください。

いつまでと決めた期限まで、ご自身のペースで精一杯トライしましょう。
私たちもそのお手伝いをさせていただきます。
一緒にがんばらせてください。

でも、万が一期限までにお子さんを授からなかったとしても、
あなたの、そしてご夫婦の幸福を一番に考えたいです。
私たちはお子さんを授かっても授からなくても、ご夫婦が幸せであることを
究極の目標としています。
だからこそ、あなたに身体を壊すほど無理矢理なことはしてほしくないですし、
常に心の状態を良好に保つことを重視しています。
心身が安定した状態のほうが妊娠しやすいということを知っているからです。
妊活はできるだけ明るい気持ちで、軽やかに、がいいんです。

「いつまで?」ということを真剣に考えることは、前向きな妊活に必須だと
思っています。

何度も流産を繰り返し、ここまで来たら「次こそは!」との一心で
立ち止まることも引き返すこともできなくなってしまっている方を
何人も見てきました。
高額な不妊治療のために貯金も使い果たし、ご両親から借金をされる方
だっていらっしゃいます。
そうした切羽詰った心理状態のなかでよい結果を出していくのは至難の業です。
心身ともにボロボロの状況に突入する前に安全策を講じておくのは、
あなたの人生設計にとって大事なことではないでしょうか。

ぜひとも、ご夫婦でよく話し合ってみてくださいね。

赤ちゃんは授かりものです。
無理矢理つくるものではないのですね。
であれば、赤ちゃんが来やすい環境を整えるために、
どんな心構えが必要なのか、どんなことをすればいいのか、
“赤ちゃんの立場に立って”考えてみてはどうでしょう。
赤ちゃんにも赤ちゃんの都合というものがあるのですって。
「早くきてほしい」というのはコチラの都合の押し付けなんですよね。

というわけで、今日はかなりヘビーな内容となってしまいました。
でも、避けて通るより、クリヤしていってほしい壁です。
かならずレベルアップできますから!

これから治療をスタートされる方、今まさにがんばっておられる方、
これを機にご夫婦で考えるきっかけとなるといいなと思います。

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