今日は肥満や痩せすぎが不妊にどう影響するのかについてお話していきましょう。

ご自分の身長の標準体重をかなり上回ったり下回ったりしてしまうと、
妊娠しづらいというのはどうやら事実のようです。
「妊娠できない」のではなく、「妊娠しづらい」です。

適正体重に戻せば、そのうち70%の方が妊娠できるそうなのですよ、なんと。

それはいったいなぜなんでしょう?

答えは”ホルモンバランス”です。

ホルモンは脂溶性で、身体のなかでは体脂肪に蓄積されます。
体脂肪が多くなると排卵が起こりにくくなり、月経サイクルが乱れます。
エストロンという女性ホルモンが過剰になり、バランスが崩れてしまうのです。
その結果無排卵になってしまうことさえあります。

逆に痩せすぎでは、ホルモンの原料である脂質が足りなくなることや、
あっても、エストリオールという弱い女性ホルモンに変わってしまうため、
生殖能力が低下してしまうのです。

もちろん、急激に痩せると身体は生命の危険を感じて生殖機能を停止します。
ですから、無理なダイエットや摂食障害によって月経や排卵が止まってしまうのです。

太っても痩せてもホルモンバランスが崩れてしまうのですね。

もう少し細かいことをいうと、女性ホルモンのもとになるのはコレステロール
なのですが、このコレステロール値が高過ぎるのも低過ぎるのもアンバランスを
生じます。
痩せ型でも高コレステロール血症の方は要注意です。

またホルモンバランスのみならず、肥満によって血液循環が悪くなれば、
骨盤内の血流が滞り、子宮の状態も悪化していきます。
そんな方は下腹に触れるとすごく冷えていることが多いのです。

それでも、早く気づいて適正体重に戻すと、すぐに自然妊娠することがよくある
ようです。

肥りすぎと痩せすぎではどちらのほうが妊娠しやすいかというと、肥りすぎのほう
だそうです。
ですが、肥満していると妊娠しても妊娠性糖尿病や妊娠高血圧症候群になりやすく、
出産のトラブルが多いです。

妊娠してからでは体重コントロールが難しいため、今から少しずつ努力して
いきましょう。

若い女性の特徴なのかもしれませんが、自分は肥ってると思い込んでいる方が
けっこういらっしゃいます。

世界共通の肥満度をはかる計算式があります。
それがBMI(ボディマス指数)です。

BMI=体重(kg)÷身長(m)×身長(m)

この式によって導かれた数値で、18.5未満を痩せ、25以上を肥満とします。
適正は22くらいです。
だいたいこのあたりの方は病気になる確率がもっとも低いそうですよ。

BMI30以上の肥満度2以上になると、妊娠はかなり難しくなり、流産のリスクも
高まります。

逆に低すぎる場合は妊娠しても子宮内胎児発育遅延の子どもが増えるそうです。

いかがでしょう。

標準内に収まらない方は、なるべく早く対処していきましょう。
といっても、急いでダイエットは余計に悪影響を及ぼすことをお忘れなく!

さて、これまで女性の方の体重について述べてきましたが、
男性の場合はどうなのでしょうか。

同じBMIでいうと、25以上になると精液量の減少が認められ、精子の数自体も
少なく、正常運動精子の数が減るそうです。

男性もホルモンバランスが崩れるのは同じで、男性ホルモンが少なく、
女性ホルモンが多くなるそうです。

それは困りますよね!

漢方的に見てみると、肥満というのは「湿痰」や「オ血」と関連があります。
肥満女性に多い多嚢胞性卵巣症候群の原因も「湿痰」です。

食事療法、運動療法といったご自身でできる養生法を取り入れていただきつつ、
湿痰を取り除くための鍼灸や漢方の治療をしていきます。

また、身体をあたため、脂肪を燃焼していくことが大事ですね。

逆に痩せすぎの方もたいがい冷えていますから、とにかくあたためること。
そして、栄養をしっかり、とくに良質のたんぱく質を摂ること。
あとは、その方の体質に合わせて足りないところを補っていく治療を行ないます。

体重の異常がある場合は、間違った食習慣があるかもしれませんので、
毎日の食事内容を全部書き出してもらい、チェックしていくということもやっています。

適正体重なのに妊娠しにくい方はたくさんいらっしゃいます。
であれば、適正に戻しただけで妊娠できれば、とても幸せなことですよね。
これから年末年始がやってきます。
急激に体重が増える(!)可能性のある時期です。
お正月過ぎてから急激なダイエットを敢行しなくてもいいように、
どうか、常に適正体重を守ってくださいね!!

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