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今日は青背の魚の代表格、鯖(さば)を取り上げます。
サバという名前は「小(さ)歯(ば)」からきているそうです。

日本各地で陸揚げされる、なじみのある大衆的な魚ですね。
マサバやゴマサバなどが一年中近海で獲れますが、なんといってもマサバの旬は秋。
脂ののりが違います。
「秋鯖は嫁に食わすな」という言葉もあるくらいです。

美味しいものは嫁には食べさせない、なんて嫁いびりの意味もありつつ、
実は秋の鯖は脂肪が多いため、下痢や腹痛を起こしやすいため、子宝のために
食べないほうがいい、という意味もあるのだそうです。

ほんとうに子宝によくないのでしょうか?!
ゆっくり見ていきましょう。

サバは青く輝いていて、太陽を象徴する魚として信仰の対象になっていました。
京都の葵祭で鯖鮨を食べるのは、その名残だそうです。

酢でしめるのは、鯖はとても傷みが早いためです。
なんといっても、「サバの生き腐れ」といわれるくらいです。
これは、多量に含まれるヒスチジンという成分が、分解酵素によって
ヒスタミンに変化するためです。
これが、じんましんや、腹痛など、アレルギー様食中毒の原因となるのです。
できるだけ新鮮なものを求め、早く調理していただきましょう。

では、栄養価を見てみましょう。

秋、一番脂がのった時期、この頃一番EPA/DHAが多く含まれています。
エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸、ですね。
その量はほかの青魚の3~4倍です。

EPAとはIPA(イコサペンタエン酸)とも言われる不飽和脂肪酸です。
血液中の中性脂肪値やコレステロール値を低下させて血流をよくし、
抗血栓作用で動脈硬化の予防に役立ちます。
悪玉コレステロールを低下させ、善玉コレステロールを増加させる働きが注目されています。

DHAとはもともと脳の神経細胞に含まれる成分で、EPAと同じように中性脂肪を減少して
動脈硬化を防止するだけでなく、脳神経組織の発育や機能維持に役立つ、
「健脳食」と言われています。

低い水温のなかでも液状を保つ魚の脂肪は、固まりにくく、流動性があるので
魚よりずっと体温の高い人間にとってはよい脂質なのです。
ただし、酸化しやすいというのが欠点ですね。
酸化すると過酸化脂質となって、ガンなどの原因になるんです。
それでも、サバには、酸化を防いでくれるビタミンEが含まれていて安心です。
とはいえ、やっぱり新鮮なうちに食べるのが肝腎です。

ちなみに牛や豚の脂質(ヘッド、ラード)は常温では固まっており、飽和脂肪酸です。

白身魚は脂肪が少ないのですが、含まれるたんぱく質は同じくらいです。
良質のたんぱく質摂取を目的に、また身体にとってよい脂を摂るためにも、
ぜひ青魚を食べましょうね。

実は、「嫁には食わすな」どころか、不育症の方にはぜひとも食べていただきたい
食材なんです。
血栓予防というくらいですから、血栓ができやすいために妊娠が維持できない方には
最適ではないでしょうか。
流産の経験があるなしにかかわらず、きっといい方向に働くはずです。
まさに、子宝に効くサカナじゃないでしょうか。

「サバを読む」という表現があります。
サバは大量に獲れ、かつ鮮度の低下が激しいので、漁師さんが数もろくに数えずに
大急ぎで売りさばいたのが語源だそうです。
現代では、なぜか数というより、歳をごまかすときに使いますよね(^_^;)

では、漢方的に見ていきましょう。
性質は平、潤作用があります。
臓腑は、脾胃、心、腎に入ります。

東洋医学的な効能としては、
益気化湿、つまり気を高めて身体のなかの余分な水分を排泄します。
寧心補腎、腎の力を補い、気持ちを落ち着かせます。

体質としては、寒熱の偏りがありませんので、どなたにもOKです。
ただ、脂が多いため、普段から消化不良ぎみの方は食べ過ぎるとよくありません。
ですが、気力を高めてくれるので、食欲がなく、すぐに疲れてしまうというような
虚弱体質の方にもよく、余分な水分を除いてくれるので、水分代謝が悪い方にも
おすすめです。

血行促進の働きがあるので、慢性的な肩こりや頭痛、冷えなどにもいいでしょう。

サバは鮮度が命。新鮮ではないサバだと、アレルギー体質の方はじんましんが
出たり、下痢や腹痛のモトになります。
寄生虫も注意が必要ですね! 火を通して食べるほうが安心です。

さて、サバの栄養を最大限に活かすためには、味噌煮が一番。
その際、少し酢を入れて調理すると、DHAをより効率よく摂取できるだけでなく、
旨味も増しますよ。ぜひお試しを。
酸っぱい味にはなりませんので、ご安心ください。

また、どんな味噌でも合いますが、ごまを入れるというのはどうでしょう?
ゴマ味噌煮です。
煮汁が煮詰まってきたらすりゴマを投入するだけです。
ゴマの風味や香りが食欲をそそり、ご飯がすすみます!
色は若干悪くなりますが、黒ゴマを使えばより腎にいいですよね。

他にも、意外と洋風でもいけるんですよ。
唐揚げや、パスタの具にも。
塩サバでもOKです。
クリーム系のパスタにも案外合うんですよ~。
また、水煮缶を使ったカレーも、安上がりでヘルシー。
青背の魚はカレー粉との相性もバッチリです。

庶民にとって、もともと身近な存在だったサバ。
最近はちょっと人気が落ちてきているのかもしれません。
でも、血液サラサラ効果、血栓防止という観点からも、妊娠力アップに
抜群の効果が期待できますし、腎臓の働きを助けてくれるので、
それだけでも妊活中のみなさんにはオススメの食材ですよ。

おいしく食べて、妊娠力アップ!!

ぜひ、今夜の食卓にどうぞ♪

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