書籍 下書き

西洋医学的考察

「不妊症」とは、なんらかの治療をしないと、それ以降自然に妊娠する可能性がほとんどない状態をいいます。

普通、病気のない健康な男女が妊娠を希望し、避妊をせず夫婦生活を営むと一定期間内に大多数の方が妊娠すると言われています。けれども一定期間を過ぎても妊娠しない場合、その後いくらタイミングを取っても自然に妊娠する可能性は低くなるため、不妊症と診断される事がほとんど、です。

どのくらいの期間妊娠しなかったら不妊症と考えられるのか、すなわち「この一定期間」とはどのくらいなのでしょうか。
前章でも述べましたが、

実は、不妊症と診断できる期間は、年齢によって異なっているのです。一般に、年齢が高い夫婦では妊娠できない期間(これを「不妊期間」とよぶことがあります)が比較的短くても、それ以降自然妊娠する可能性は低くなりますし、年齢が若い夫婦では不妊期間が比較的長くても、その後自然に妊娠する可能性が高いことが多いのです。

そのため、世界中の人々を対象とする世界保健機構(World Health Organization: WHO)では不妊症は、2年間の不妊期間を持つものとしており、一方妊娠を考える夫婦の年齢が比較的高い米国の生殖医学会では不妊期間1年以上を不妊症と提唱しており、結婚年齢が高くなった日本でも1年以上妊娠しない場合に不妊症と診断し、検査と治療を開始したほうがよいという考えが一般化してきています。

一方、女性側が月経不順や無月経期間が長く排卵がうまくいっていない場合、子宮内膜症や子宮筋腫があって月経が辛いなどの症状がある場合は、不妊症である可能性が高くなります。また、女性が妊娠できる年齢は10代から40代までと限られているため、早期に不妊症の診断や治療を開始しないとますます妊娠しにくくなることにもなります。このように病気や不安な要素がある場合には、一定期間妊娠しないことを条件とせず、早めに産婦人科で不妊について相談して頂きたいと思います。